10台目は「あ」

マツダ RX-8

    (あ-るえっくすえいと)

グレード・年式typeS  2003年
エンジン型式直列2ローター
排気量654cc×2
出力・トルク250ps  22.0kg-m
全長×全幅×全高4435×1770×1340
車重1310kg
新車価格275万円

説明

プラットフォームの型式名はマツダ・FプラットフォームをFD3Sより引き継ぐFE型だが、マツダのロータリースポーツ車の新規車種として設計・生産され2003年に発売。搭載されるエンジンも、型式こそ従来と変わらない13B型であるが、ポートやハウジングを含めほとんどを新設計された自然吸気型13B-MSP型『RENESIS』(RE+GENESISの造語)を搭載した。月間1,000台の販売を計画した。

RX-7の後部座席は「ワンマイルシート」と揶揄されるような補助的なもので、乗員の長距離移動には不向きだったが、RX-8ではアメリカ合衆国などの保険の関係により4ドアがフォード側の絶対条件であったため、大人4人が乗れるパッケージが求められた。しかし、4ドアにすると車体が大きくなり重量も増し、ロータリースポーツの旨みである「軽快さ」がスポイルされるため、前後ドアが観音開きとなる「フリースタイルドア」を採用した。後部ドアのアウターパネルは軽量化のためアルミ製とされた。後部ドアには、ピラーと呼ばれるボディーの上下を結ぶ骨組みが組み込まれたビルトインピラーを他社に先駆け採用した。これによって開口部拡大による車体の剛性低下を防いでいる。後部ドアのドアノブは室内側にのみ存在し、前部ドアが開くことによって初めて開閉が可能となり、後部ドアが前部ドアをロックする役割も兼ね備えている。後部座席への乗り降りには、フロント側のドアを先に開ける事が必須条件になっている(前席の乗員がいない場合には、前席シートを倒した後で身を乗り出してフロント側ドアを開けることで単独降車は可能であり、助手席側後部座席には、助手席シートを倒すレバーも付いている)。前席のシートベルトは後部ドアに取り付けてある為、後部座席へ乗り降りするためには、前席搭乗者のシートベルトも着脱する必要がある。

前述の通り、搭載エンジンは『ロータリーエンジン』である。自然吸気(NA)とされ、排気ポートは市販ロータリーエンジンでは初となるサイド排気ポートを採用した。これによって「RENESIS RE」はオーバーラップ0とすることが可能となり、従来のロータリーエンジンと比較して燃費も向上しており、低速トルクも改善されている。吸気ポートは、6ポートのエンジンと4ポートのエンジンの2種類が設定され、6ポートのエンジンのレブリミットは9,000rpm(タイプS)という高回転型ユニットとなっている。ターボチャージャーを廃したことで、伸びやかでストレスなくレブリミットまで回転する、よりロータリーエンジンの旨みを引き出したエンジンとなった。ただし、サイド排気ポート方式には、排気ガスによって水温が上がりやすくなったり、燃焼室に煤がたまりやすくなるという欠点もあった。このエンジンの基となったものが、コンセプトカー「RX-01」(1995年東京モーターショー展示車)にも搭載されている。イギリスの「エンジン・テクノロジー・インターナショナル」が主催する「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー2003」を、過去最高の審査員50人中44人の得票を得て受賞した。

エンジンの最高出力は、カタログデータで標準モデル(5速MT/4速AT)が210PS、TYPE-E(6速AT)は215PS、TYPE-S(6速MT)250PS(以上マイナーチェンジ前の数値)である。マイナーチェンジ前の210PSモデルは吸気ポートが4つであり、215PS、250PSのモデルは6PI(吸気ポートが6つ)であるが、マイナーチェンジ後に全て6PIで統一された。また後期型はハイパワー版が250PSから235PSに修正されている。この理由はレギュラーガソリンへの適合のためとされているが、より実測出力値に近い数値に合わせたともいわれている。ロータリーエンジン搭載車としては、初めて電子スロットルを採用し、各種走行安定装置(電子制御)も導入されたモデルである。なお、メーカーによる慣らし運転推奨車種(取扱説明書に記載)となっている。

ブレーキキャリパーはフロント/リアとも片押し1ピストンであるが、フロントのディスクローター径はグレードにより大径となる。MT仕様のプロペラシャフトは、カーボンファイバー強化樹脂とスチールを組み合わせた、軽量ワンピース型を採用(AT仕様はスチール製)。パワーステアリングは、モーター制御の電動を採用した。マツダのスポーツカーに継承されてきたフロントミッドシップはさらに推し進めれ、「アドバンストフロントミッドシップ」レイアウトを採用。車両の重量配分はRX-7の最終型であるFD3S型と同様に「前後50対50」の比率を確保し、エンジンの搭載位置をより低くしたため、FD3S型よりもヨー慣性モーメントが5%低減され、高い旋回性能を誇っている。

安全面では、国土交通省による衝突安全性能総合評価において、運転席、助手席とも最高ランクの六つ星を獲得し、ブレーキ性能試験においても100km/hからの停止距離が38.6m(湿潤時は44.4m)と、この記録は試験を行った歴代全車両の中で、2003年販売時点でトップであった。一方、歩行者頭部保護性能試験では頭部保護機能を持ったボンネットを採用しているものの、低いフロント形状の特性ゆえレベル1に留まる。

軽量化のため、全グレードにわたってスペアタイヤは搭載されず、パンク修理キットで代用している(テンパータイヤは販売店装着オプション)。

2005年12月13日放送の『プロジェクトX』の「技術者魂永遠に~新ロータリーエンジン 革命車に挑む~」では、開発者から家族4人で乗ることができる「ファミリーカー」として開発したことが語られている。

また、警視庁では交通取締用として本車をベースとしたパトロールカーが全4台導入され、2016年(平成28年)3月まで運用されていた。警察博物館に高速道路交通警察隊で運用されていた1台が展示されている。

思い出

いや~、欲しいクルマです。

iQを買うときも本当はこれも候補にあり、中古車屋で現物も見に行きましたが、エンジンの掛かりがイマイチで「圧縮比が低いなこりゃ。」と思いこの個体は諦めかけたところ、知り合いの整備工場の方から「エンジン載せ替えるつもりなら買ってもいいんじゃない。」と言われ怖気づいた車であります。

何と言っても今となってはロータリー最後のクルマ。スムーズな吹き上がりと速さを感じてみたかったのですがメンテナンスとガソリン代が怖かったです。でも本気で欲しくていろいろいじり方の本とかも買ってはいました。未だにそれを持っていますからやっぱり欲しいのでしょう。

基本的にマツダ車は好きなので、マツダしかできないロータリーに乗りたい気持ちは圧倒的にありました。今となっては上質な個体が中古で出回るのは難しいから乗れないのでしょうね。後悔の残るクルマの1台です。