56台目は「お」

ミツオカ オロチ

     (おろち)

グレード・年式ベースグレード    2006年
エンジン型式V型6気筒DOHC
排気量3311cc
出力・トルク233ps  33.4kg-m
全長×全幅×全高4560×2035×1180
車重1580kg
新車価格1050万円

説明

キャッチコピーは「本能の誘惑。煩悩の悦楽。」車名の通り、日本神話に登場するヤマタノオロチにヒントを得た有機的なデザインが最大の特徴。車体寸法は全長4,560 mm、全幅2,035 mm、全高1,180 mmであり、幅広で低いプロポーションを持つ。なお、日本国内でこれまでに販売された日本車において全幅が2.0 mを超える車種は、オロチの他にはトヨタ・メガクルーザーのみである。

光岡の他車種とは異なりベース車はなく、自社製のフレームを使用している。そのため、同社にとってはゼロワン以来2作目の型式認証車となった。

パワートレインは、レクサス・RX330用である3MZ-FE型 3.3 L V型6気筒エンジンとアイシンAW(現:アイシン)製5速ATの組み合わせがそのまま採用され、横置きミッドシップレイアウトを採用している。ステアリングホイール及びエアバッグモジュールはスズキから供給を受け、ブレーキはホンダ・レジェンド用を、外装の一部パーツにマツダ・ロードスターと同一製品を採用している。

1,580kgの車重に対し233馬力と控えめなエンジン出力や、トランスミッションはATのみでMTの設定はなく、足回りも過大入力に対応していないなど、必ずしもスポーツ走行を重視したものではないが、スタイリングを手がけた青木孝憲によると、「ファッションスーパーカー」という言葉をコンセプトとし、「優越感にひたって雰囲気を楽しめるが、スーパーカー特有の扱い難さを極力排し、日常的に使えるクルマ」に仕上げたという。そのため静粛性を考慮したエンジンの設定や、足回りやバケットシートも柔らかめの設定であるなど、走行性能よりも居住性を重視した設計となっている。またMRではあるが、ボディに対して比較的小型のエンジンを横置きにしてあるため、シートの後ろに荷物置きがあり、エンジンとボディの後端までの間に小型のトランクスペースが存在する。トランスミッションがATのみとなった事情は、日本の交通事情(坂道や渋滞など)を考慮し、高額な型式認定を受ける車型を減らし、販売価格を抑えるためであると説明している。

2006年10月2日、光岡はオロチの市販を発表し、翌日より予約を開始した。

過去のオリジナルカーであるゼロワンは当初生産規模が限定される「組立車」であったが、本車は量産を前提とした光岡・ABA-MSP1型として、国土交通省の型式認定を取得している。

400台の完全受注生産となり、内装色については25色、ボディカラーについては約300色の中からオーダーが可能で、特別色の配合についても受け付ける。手作業での生産となるため、最後の1台が完成するのは製造開始から4年後と言われ、2007年4月23日には予約者への納車が開始された。

2008年1月30日、特別限定車として大蛇・零(オロチ・ゼロ)を発表。ボンネットやヘッドライトなどの装飾を少なくし、塗装を一色に絞り、コストを抑えた廉価モデルとなる。車両本体価格は934万5,000円。「自動車人気復興大作戦」というオロチプロジェクトの一環として計画された。

2008年9月26日、オロチ2009モデルを発表・予約開始。変更点は内外装の仕様変更のみ。従来のボディカラー300色と内装本革20色はオプションとし、新たに標準色を設定することで価格を抑えている。また、鎧兜をイメージしてカーボンエアロパーツを装着した大蛇・兜(オロチ・カブト)も5台限定で発売。なお、オロチ・ゼロは設定されていない。

2009年12月、アメリカのギターメーカーであるリッケンバッカー社とのコラボレーションによる特別限定車、「オロチ・リッケンバッカー」を発表。5台を限定で予約発売した。車体にリッケンバッカーのトラスロッドカバーの形を模したエンブレムと、シートにギターの弦とテールピースの形状をデザイン化したステッチを施す等の意匠が施されている。

2010年6月4日 特別仕様車「Gold Premium」を設定し発売。「オロチ ゴールドプレミアム」は、装飾品を豪華にした特別仕様車。“ファッションスーパーカー”と銘打ったその仕様は、ゴールドパールのボディカラー、専用フロントリップスポイラーとリアウィング、エンブレムなどが装備として追加。インテリアもシートやステアリングホイールが赤ステッチ入りの黒いアルカンターラ仕上げとなる。排気系では4本出しスポーツマフラーが専用品となっている。20台の限定で価格は1,050万円。

2014年4月16日、保安基準や社外から調達する部品の供給などを理由に生産終了が発表された。同月23日に最終モデルである「ファイナル オロチ」が5台限定で発表された。

思い出

「The マイナー国産車」という称号があればこのクルマもその1台となるであろう光岡オロチ。クルマ好きでいろんなクルマを見てきた私も過去に見たのは東京に遊びに行ったとき白金近辺で走る姿を1回見ただけしかない本当に「大蛇(オロチ)」のような幻のクルマです。

光岡は元々50ccのミニカーを造っていましたが、その後に市販車をベースにクラシカルな架装を施して一定のファンを持っていたメーカー。「日本で10番目の自動車メーカー」として世に出た記憶があります。そんな光岡が本格的スポーツカーとして造り上げたクルマがオロチであります。

メカニカル部分は流石に独自開発はできないため、パワートレインはレクサスからの流用をしており、しかもエンジンに手を加えないあたりはメンテナンス面も含めて無茶なことはしないといった自動車メーカーとしての誇りがあってのことでしょう。

当然、乗ったことはありません。運転なんて無理な話。でも運転もしにくいでしょうね。1180mmの低車高に2000mm超えの車幅。怖くて運転などできません。値段も1000万円超えなので運転して責任を持てません。この先も乗ることも見ることもないでしょう。

見ることはないクルマかもしれませんが、このようなクルマを造ってくれるメーカーはとても素敵と考えます。大量に生産することはないけど一部の人が刺さるクルマを造る姿勢、そして実際に販売もするメーカー。ユーザー視点でクルマ造りができているメーカーであると思います。今も販売している「ロックスター」なんかもその流れに乗っているクルマと思います。

ユーザーはいいクルマを造ってくれるならしっかりと時間をかけてクルマを造ることに文句は言わないのです。開発に、生産に時間がかかってもいいと思うクルマならばいくらでも待ちます。時はちょうど某メーカーの不正事象が発表された日、「短期開発にプレッシャーがあった」のはわかりますが、腰を据えてしっかりとクルマ造りをしてユーザーの希望に沿ったものを出すのがメーカーの務めだと思うのです。最後は別メーカーの話になりましたが、光岡はクルマ造りの基本に忠実な会社であると改めて考えさせられるメーカーであり、オロチはそんな光岡の「フラッグシップ」であったと考えます。

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