43台目は「て」

日本フォード テルスター

        (てるすたー)

グレード・年式GT 4WD  1989年
エンジン型式直列4気筒DOHC
排気量1998cc
出力・トルク145ps  19.0kg-m
全長×全幅×全高4535×1690×1375
車重1280kg
新車価格202万円

説明

エンジンは1.6Lと2.0Lターボのガソリンが落とされ、ディーゼルはプレッシャーウェーブ・スーパーチャージャーが装着された。また、2.0LのガソリンはDOHC化。TX5にはフルタイム4WDと4WSが登場。フルタイム4WD車は、センターデフロックスイッチを持つタイプだったが、マイナーチェンジ後にセンターデフロックスイッチは廃止され、センターデフにビスカスLSDが採用されることになる。2.0Lのフルタイム4WD車はリアデフにもビスカスLSDを搭載した。

1987年5月 フルモデルチェンジ。1988年2月 セダンにも4WS車が追加。10月  TX5にディーゼル車追加。

1989年6月 マイナーチェンジ。1.8LDOHCエンジン追加。1990年9月 ワゴン登場。1988年に登場したカペラカーゴとは兄弟車。乗車定員はFFが7名、4WDが5名で、前者はテルスターシリーズ初のミニバン的な車種となった。

1991年9月 セダンとTX-5の生産終了。在庫対応分のみの販売となる。1991年10月 セダンとTX5がフルモデルチェンジでクロノスの姉妹車に。ワゴンはそのまま継続。 

1992年8月 ワゴンがマイナーチェンジ。ディーゼルに4WD車が追加。

1994年11月  ワゴンがビッグマイナーチェンジ。前後デザインの大幅な変更と同時に、インパネをカペラカーゴと交換。グリルガード付きの2.0L 4WD専用グレード「カノーア」が追加された。特に、「カノーア」はテルスターシリーズ初のクロスオーバーSUVと捉えられていた。

1996年7月 ワゴンをマイナーチェンジ。コンセプトカー「マツダ・BU-X」(デミオ)を彷彿させる、フロントグリルと一体化したバンパーを持つ「カノーアII」(20i-XカノーアII(4WD)/20i-EカノーアII(FF))を追加。

1997年10月 ワゴンの生産終了。在庫対応分のみの販売となる。1997年11月  ワゴンがフルモデルチェンジして販売終了。

思い出

テルスターと聞いてピンとくる人は少ないであろう。当時フォードと結びつきの強かったマツダが日本市場にてフォード車を販売させるためにアメリカのフォード車とマツダのOEM車を販売するために作られた会社であり、正確に日本フォードはメーカーとは言い難い。言えばインポーター的なディーラーのようなもの。テルスターはその中でマツダカペラのOEM車として販売されたクルマである。

当時のカペラはヨーロッパ車を意識したクルマ造りがされており、どのメーカーよりも先駆けて5ドアハッチバックを投入したり、ステーションワゴンを設定したりとセンスの良さが際立っていたクルマであった。その中でもカペラに搭載された先進技術もテルスターに当然のように採用され、プレッシャーウエイブディーゼルエンジンや4WSステアリング等積極的に採用をされたものである。クルマ好きにはカペラを好んで乗る人が多く、テルスターはディーラー網の少なさもありより好きな人が選んだクルマとなっていた。

私とテルスターの思い出と言えば、就職活動をしていたとき日本フォードを受けていたことを思い出す。当時自動車業界の不況もあり、メーカーの事務職の枠は殆どなく、業界に入りたい学生君の私は日本フォードを受け、説明会に参加できたことがあった。説明会の質疑応答の時間、手を挙げ質問のマイクを握った私。日本フォードに対する思いを素直にぶつけてみた。話した内容は「日本フォードのマーケット力のなさについて」。大それたことを言っているが、要は「もっと売れることを考えればいいんじゃね?」的な話。

テルスターについても熱く語った。これほどの素晴らしいOEM車を扱っているのに全然広報していない。特に当時日本フォードはテルスターを2台販売していた。クロノスベースの「テルスター」とカペラベースの「テルスターⅡ」。「えっ?テルスターⅡってネーミング・・・」と感じていた私はそこを強調して「なぜそのネーミングなのか?」「同じプラットフォームだからと言ってⅡを付けただけの感覚では販売が伸びないのでないのか?」とぶつけてみた。何と生意気な学生なんだろう。質問担当した社員も回答には困っていたようだった。その瞬間「これで印象は強く与えた!!とりあえず1次選考通過だな。」と確信を持った。説明会後には何人かの学生が私のところに来て「スゴイですね!!」「どの辺りの会社を受けるのですか?」と質問攻めにあっていた。ちょっと銚子に乗ってしまった。

当然のことながら(?)、1次選考は通過し、2次選考に移った。ところが流石外資系。そのときの試験は私がやったことのない「ディベート」。しかもクルマに関する題材かと思いきや、「自分が動物なら、保護されるのいいか。処分される方がいいか」という全くの予想外な内容。しかも私は処分される方の擁護をしてくださいと言われ、頭は真っ白。殆ど話すこともなく、3次選考の連絡もなかった。そんな素敵な(?)思い出が日本フォードにはあった。まぁ、調子に乗ると人間は良くないことを学んだときであった。

それはさて置き、テルスターはマツダのクルマ作りが99%入ったクルマ。真面目で職人的な要素の強いクルマとして玄人が好んだクルマであると言える。

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